まずは結論
- AIブームで「データをためる・読み書きする部品(NAND・DRAM)」の需要が急増している
- その結果、メモリー価格が前月比で2〜6割も急騰しているという調査も出ている
- 日本の「メモリー関連企業」「製造装置」「素材メーカー」にとっては追い風になりやすい
- ただしメモリー市況は「上がるときも下がるときも早い」ため、短期での“飛び乗り”はリスク大
- 初心者は「なぜ今メモリーが注目されているか」を理解する
- 個別株だけでなく、半導体関連の投資信託・ETFも選択肢に入れる
くらいの距離感で付き合うのがおすすめです
ニュースの概要(何が起きている?)
2025年11〜12月にかけて、
「AI需要で半導体メモリー市況が急回復・価格急騰」
というテーマが増えています。
その注目されている背景となっているのは、半導体調査会社などのレポートです。
レポートの内容で重要だったのが、
NANDフラッシュのウエハー価格が前月比で約20〜60%上昇したと報告されている
※NANDフラッシュ…データを保存するメモリー
※ウエハー…半導体デバイスの基板となる超重要な素材
言葉の意味をまとめると「生成AIを支える超重要な素材の価格が高騰している」ということで、
つまり、
「メーカーはむやみに増産せず、利益重視の売り方に切り替えた」という理解になります。
この流れを受けて、以下の4社は供給量を限定し、利益を目指す姿勢に投資家は期待大です!
・韓国:Samsung Electronics
・韓国:SK hynix
・米国:Micron Technologies(MU)
・日本:キオクシア(285A)
「AIブーム → データセンター投資 → メモリー需要急増 → 供給量を絞る → 株価期待大」
という流れが起きている、というのが今回のニュースの骨格です。
背景①:メモリーって何?なぜAIでそんなに必要?
半導体メモリーは大きく2種類に分けられます。
- DRAM
PCやスマホが「今使っている情報」を一時的に置く“作業机”のようなメモリー - NANDフラッシュ
SSDやUSBメモリに使われる「電源を切っても残る」“倉庫”のようなメモリー
そして生成AIは、この2つの記憶方法を駆使して、
- 大量のデータを読み込み(DRAM)
- 大量の計算を同時に処理(GPU)
- 結果を保存し続ける(NANDフラッシュ)
という作業を繰り返します。
私たちがChatGPTなどの生成AIに質問をするたびに、
その裏側でフル稼働しているのがこの DRAM+NANDフラッシュ なんです。
これらの技術はAIのデータセンターで活躍しています。
従来のサーバーよりはるかに多いメモリー容量と高速な読み書き性能を目指して
今もなお開発を続けています。
需要という点では、
今までは生成AIを軸としたサービスの需要が目立っていましたが、
これからは、サービスを使う上で必要な
AIサーバー向けのメモリー需要が、生成AIサービス需要を上回る存在になりつつある、というのが現在の流れです。
背景②:なぜ今ここまで価格が跳ね上がっているのか?
少し深堀っていきましょう!
メモリー価格急騰の要因は、
- AIデータセンターの「需要急増」
- メーカー側の「安売りをやめる」戦略転換
の2点です。
1. AIデータセンターの“スーパーサイクル”
Google・AWS・Microsoft などのクラウド大手は、
生成AIの学習や提供のために巨大なデータセンター投資を続けています。
NVIDIAが高性能なGPU(凄まじい計算能力を持つ脳のようなもの)を作り続け、
好決算を連発している中で、先ほどお伝えした以下のサイクル全体の需要を引き上げています。
生成AIのサイクル
1.大量のデータを読み込み(DRAM)
2.大量の計算を同時に処理(GPU)
3.結果を保存し続ける(NANDフラッシュ)
このサイクルの高性能かによって、
大容量DRAM、高性能GPU、大容量NANDがセットで需要が高まっている状態が
スーパーサイクルといえます。
とりわけ、GPU(NVIDIA)が高性能化を引っ張り、
その周辺にあるメモリー全体の需要が遅れて膨らんだ状態です。
2. メーカーが「安売り競争」をやめた
実は過去のメモリー業界は、
- シェアを取るために価格を下げてでも増産
- 結果在庫を多く抱え、価格崩壊→赤字
という悪循環を経験してきました。その悪循環の反省から、
- 利益率の高い製品(データセンター向け・高性能品)に生産を集中
- 儲かりにくい汎用品向けの生産は絞る
という「選択と集中」に舵を切っています。
この戦略が功を奏し、2025年は大きく株価を伸ばしています。
生成AIという需要が確かな素材に注力するが、
価格競争的な戦いはせず、利益を守るという構図になってきています。
その代わりにメモリの性能でシェアを取れるかが重要ポイントになる。
メモリの性能は…
大容量メモリーというのは大前提で、
・速度
・電力
・積層技術
・歩留まり
などが挙げられます!
ぜひ今後のニュースで注目してほしいキーワードです!
背景③:日本企業にとっての追い風
日本は、メモリーそのものよりも
- メモリーを作るための製造装置
- 材料・部材
- パッケージ・検査装置
といった“周辺分野”に強い企業が多いのが特徴です。
代表的な動きの例
- キオクシア
NAND不足やAI向けSSD開発 - 米マイクロン(広島工場)
日本政府が最大数千億円規模の補助金を決め、総額1兆円超の投資で
次世代DRAM・HBM(高帯域メモリー)を日本で量産する計画を進めている
これは
「AI時代のメモリーを、日本国内で安定供給できる国になる」
という方向性に沿った動きです。
日本の半導体製造装置・材料メーカーにとっても、メモリー投資が続く限り、恩恵を受けやすい構造と言えます。
今後の見通し
ポジティブに見られるポイント
「AI × メモリー関連」は米国株、日本株の重要テーマであり続ける
生成AIは「一時的なブーム」ではなく、企業の生産性向上や新サービスの基盤として定着しつつある
生成AIがより生活に密接したサービスとして確立する前に投資家としては早めに動いておきたい。
どういった投資をすべきか?というと、
DRAM関連、GPU関連、NANDフラッシュ関連のスーパーサイクルです。
注意しておきたいリスク
ただし、良い面ばかりではありません。
・メモリー市況は「上がる時も早いが、下がる時も早い」
→AI投資が一服したり、景気が悪化したりすると設備投資の延期
・在庫調整
→需要の下落や遅延で価格が急落することも、過去に何度もある。
・2025年お6月〜10月にかけて高騰したため、割高感も否めない
→株価を見てテクニカルな判断も必要。
「テーマが熱い = 必ず儲かる」ではない
という点は改めて意識しておきたいところです。
まとめ:AIブームの裏側で「メモリー」が主役のひとつになっている
生成AIブームの本格化で、データをためる・読み書きするメモリー需要が急増
調査会社のデータでは、NANDウエハー価格が1カ月で20〜60%上昇したとされ、
市況が「一気に強気」に転じた状態であり、
日本企業・日本政府もこの流れに乗り、製造装置やメモリー量産拠点への投資を強化。
「長期で付き合えるテーマかどうか」
という視点で、半導体メモリー関連を見ていくことが大切です。
参考キーワード
半導体メモリー市況に関する海外調査会社のレポート
キオクシアやマイクロンの設備投資・補助金関連ニュース
日本政府の半導体・GX(グリーントランスフォーメーション)関連政策資料
※本文中の数値や動向は、2025年12月時点で公表されている各種レポート・報道をもとに整理しています。
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